2008.09.16 (Tue)
■ 今日はちょっと真面目に、昨日作ったヴァイオリンのチューニング方法(MIDI)でも。興が乗っただけなので、まま、さらりと読んでみる感じでどーぞ。これもまた正解ではなく、ひとつの例に過ぎませんので。
ただまあこういう人も居るんだなって感じの参考にしてみてください。
■ [音楽] 我流ヴァイオリンチューニング(0) - 元データ
てな感じで、まずは弄る前の元データから提示します。こちら。
http://www.zephyr-cradle.info/mp3/study/080916_00.mp3(譜面)
音源は Edirol 社の VSTi 、 Orchstral を用いています。譜面(シーケンサのスクリーンショット)は当方の制作環境である Singer Song Write 7.0 (以下 SSW )です。
いわゆる「ベタ打ち」の状態です。全ての音符をただ置いただけ。 Velocity*1 も、まずは100固定でがしがし並べただけの状態です。 Gate Time*2 もほぼ100固定で打ち込んでます。他のコントロールチェンジの操作は一切なし。デフォルトの Reverb*3 はかかってますが、今回の主題ではないので割愛。今回の操作対象外です。
これだけ聞くと、なんだか蚊が鳴くような音にしか聞こえないわけですが、これをちょっと素敵に彩っていきましょうってことで。なお今回使う MIDI のコントロールチェンジは、 Velocity と Modulation 、あと Expression です。
てな感じではじまりはじまり。
■ [音楽] 我流ヴァイオリンチューニング(1) - Velocity
うちはまず、べろしちーを簡単に弄ります。今回はちょっとおとなしめにしたいので MAX までは上げません。 Orchestral の Solo Violin はべろしちー127くらいにするとひっかくような音になって、それはもう激しい曲には Best なんですが、今回は静かめに。
実際に譜面を見ていただいた方が早いので、こちらをどうぞ。
http://www.zephyr-cradle.info/mp3/study/080916_01_velo.jpg(画像下部が Velocity )
この後に出てくる Expression の操作もちょっと頭に入れながら、音を伸ばした時の音を切る直前の音量を意識しながら、各音の音量をセットしていきます。
シンセ(not 生音)系の音だとこんなに細かくやったりしないですが、ヴァイオリンなので一音一音設定していきます。といっても几帳面にやっても時間食ってしょうがないので、主に前の音より大きいか小さいかに注目して設定していきます。他の音と相対的に見て弄るくらいで良いです。どーせあと(主に Expression 弄るとき)で再調整しますので。
そして、ここで出来た音はこんな感じ。
http://www.zephyr-cradle.info/mp3/study/080916_00.mp3
あまり強めに強弱を付けていないので、ぶっちゃけ差はほとんど判らないと思います。顕著に判るのは最後の一音ですかね。ここで音がひっかくような感じになってるの判りますかね? これがべろしちーの効果です。
ここまで来て、お聞きの皆さんなら判るかと思いますが、すっごく耳障りな音になってると思います。キンキンしててうっさいですが、ここはこれで良いんです。あくまでもこの段階では、音を切る直前の音を意識して作ってますので、それがずっと続けば耳に痛いのも当然です。
さてお次は Modulation を弄ります。
■ [音楽] 我流ヴァイオリンチューニング(2) - Modulation
Modulation というのは、有り体に言えばビブラートです。ヴァイオリンには欠かせない、あの左手のえろい揺らしですな! あの揺らし、えろいよね!
というのはさておき、もじゅれーしょんは0「ビブラートなし」〜127「超大幅にビブラート」の度合いで弄ります。正直127とかはキモいの領域なので、かけるなら10〜50くらいが Better かなあと思います。まあ勿論ケースバイケースではあります。今回はこの範囲内くらいで弄ってみます。
ってことでまずは譜面をどうぞ。
http://www.zephyr-cradle.info/mp3/study/080916_02_modu.jpg(画像下部の黒い範囲が Modulation かかってるとこ)
ヴァイオリンにビブラートをかけるタイミングですが、主に以下です。詳しくは生演奏を見て研究してね! これも曲によりけりですし、あとは奏者の感覚的なもんです。絶対こうでないと! というものはありません。大体です。
- 長い音:徐々に強めになるビブラート
- 中程度の長さの音:出だしの少しの間だけ(※かけすぎ注意)
- 短音:不要
とにかく、かけ過ぎに注意です。特にテンポの速い曲ではほとんど不要です。今回のお題に使ってるメロディは結構歌うようなメロディだからこそバシバシかけていますが、テンポの速い曲ではほぼ不要で、最後の決めの延ばしくらいにしか使わない方が良いです。味があるのは確かなのですが、多用は禁物です。キモくなります。
ちなみにここでは、マウスを使ってフリーハンドで書きます。 SSW には当然、直線や曲線を描くペンもありますが、そんなん使うよりは手で書いた方が早いです。ペンタブ持ってる人は、ペンタブも良いんじゃないでしょうか。うちは断固としてマウスです。
で、この譜面を鳴らしてみると、こんな感じになります。
http://www.zephyr-cradle.info/mp3/study/080916_02_modu.mp3
差が判りやすいように、ここで弄る音の Velocity は全て100(上の0番の記事のデータ)に戻してます。
今回は最初の音データと聞き比べて貰えれば、結構違うのがおわかり頂けるかと。うにょうにょ言ってますよね。うにょうにょ。うようよかな? 特に長音は、伸ばせば伸ばすほどビブラートの度合いが強くなる感じにしておくと、このあとの Expression とマッチしたときに最高に良い味を出してくれます。
ただやはり、かけ過ぎには注意です。あと、ビブラートが深すぎ(値が大きすぎ)も注意です。ここでは最高70くらいまでかけてますが、違和感なく聞けるビブラートはこれくらいが限度かなあと、個人的には思ってます。
何にせよ、このあとの Expression や前述の Velocity との混ざり具合次第で再調整は必要です。最初は、浅めにかけておくくらいが丁度良いです。
■ [音楽] 我流ヴァイオリンチューニング(3) - Expression
メ イ ン デ ィ ッ シ ュ で す 。
思わず一文字ずつ開けながら言っちゃうほどに最重要のコントロールチェンジですので、ちょっと強調してみました!(>ヮ<)ノ☆ まあ Expression が最重要であることは、勿論他の生音系楽器の調整にも言えることです。他の楽器での調整にも超使います。うちは歪みギターにも使ったりします。
Expression とは、別段大したこともなく、ただの音量です。同様に Volume というコントロールチェンジもありますが、そっちは「ベース音量」みたいなもので、それを維持したまま、演奏に色を付けるために音量を変えるためのもの、ですな。
要はクレシェンド・デクレシェンドを付けるために使います。ヴァイオリンが、0番記事の元データのようにベターっと弾くようなことがあるわけがなく。そこに表情を付けるためにみんな身体を揺らしながら弾いたり弓の速度を調整して弾くわけですが、それを表現するためのものです。
で、まあ Expression ですが、通常0(音ナシ)〜127(普通)までの間の値で弄ります。デフォは127なので、そこから減らして調整するのがメインになるわけですな。
てことで今回はこんな感じに付けてみました。
http://www.zephyr-cradle.info/mp3/study/080916_03_expr.jpg
ここでキーワードになるのは、上の Velocity 調整の時にしきりに言っていた言葉である、「音を切る直前の」です。
最初に調整した(これからする)音量というは、音を切る本当に最後の音量を目安に調整してました。なのでうるさいし耳障りだしな音だったのですが、それは最後の一瞬だけにする=最初は弱めにすることで、「ヴァイオリンに弓を当てて徐々に腕の速度を上げて振り抜く」イメージを演出するのが目的です。一目瞭然かと思いますが、ほぼ全ての音が、立ち上がり(弾き始め)からその音の末端に向かってクレシェンドしてます。
ただ、実際には全ての音がそういうわけではないのですが、ここではクレシェンドに統一してます。デクレシェンドも交互に入れるのが Better なのですが、それは実際の生演奏を見て研究してください。うちも良く判りません! ヴァイオリン弾けないもん! 自分の目で見て耳で聞いて学ぶのが Best です。
なお今回もフリーハンドで書いてます。同じようなメロ、リズムなら良いですが、うちはほとんどコピペ使いません。時間がかかってしょうがないですが、メインメロディならばということでここは時間かけます。
そしてこの譜面を鳴らしたモノがこちら。例によって比較のために Velocity は100に戻し、 Modulation は全て切ってます。
http://www.zephyr-cradle.info/mp3/study/080916_03_expr.mp3
元データと比べてがくっと音量が下がっているかと思います。ほぼ全ての立ち上がりの音量を下げてますから、全体的に音量が小さくなったと思うのは当然です。なので Velocity とのコンビネーションが重要になります。
しかし Expression ひとつでかなり表情が付くので、ここはもう他のどのコントロールチェンジを差し置いても、念入りに調整します。裏メロなら全然そんなんしないんですが、メインなら超やります。5分10分の曲に2〜5時間かけて調整するのはザラです。ここに魂入れないで、どこに入れろというのか!
ちょっとしたマイテクですが、長音のクレシェンド(デクレシェンド)は決して直線状にしないことを心がけてます。これは Suspended Cymbal のクレシェンドなんかにも言えることですが、対数曲線ばりに後ろすぼみな曲線にすると、それだけでとても綺麗な表情が付いたりします。クレシェンドならめくるような勢いに、デクレシェンドなら音を消すのを名残惜しむかのような雰囲気になってくれます。要は加速度が付くので、そのほうが自然に聞こえるわけですな。
生演奏してると結構自然とやってるものですが、打ち込みだけだと気付かないもんです。皆様も一度お試しあれ。
■ [音楽] 我流ヴァイオリンチューニング(4) - まとめ
上記で説明してきた Velocity 、 Modulation 、 Expression 全てをこのメロディにかけた音データが、今回の完成系になります。こちら。
http://www.zephyr-cradle.info/mp3/study/080916_all.mp3
混ざったときのポイントは、
- クレシェンドしながらの変速ビブラートが綺麗にかかってるか。
- クレシェンド(デクレシェンド)で音が大きく(小さく)なりすぎてないか。
- 音の繋ぎが綺麗にスラー(スタッカート)になっているか。 「決める」ところまで音の立ち上がりを弱くしてしまっていないか。
などなど。あとは他の Reverb や Delay などのエフェクトとの兼ね合いも調整しながら、適度なバランスを見つけていきます。
しかし何にせよネック、というより骨になるのは Expression 。ここでは Modulation を先に紹介しましたが、当方は先に Expression を調整します。 Modulation は調味料みたいなものですが、 Expression は食材の味そのものだと思ってますので、まずは美味しい食材を育てるところが最優先である、ということです。
……といった流れを追いながら、元データと是非聞き比べてみて下さい。これだけ手塩にかけた結果がきちんとエロティックに表現されるのでしたら、超時間かけるってなもんですわ! 特にこのヴァイオリンという楽器は音が細めで、しかも人の声を元に作られた楽器でもあるので、こういった効果が顕著に出てくれます。だからこそ、調整が非常に楽しいわけです。いやもうこのデータだけでうはうはですわ。(笑
そんなこんなになるよという事実を知った上で、当方で公開しているヴァイオリンがメロディな曲を聴いていただけると、きっとどんな譜面になっているのかは、もう想像に難くないと思います。そういった楽しみ方もしてみては如何でしょうか。
顕著に判る代表作は、この辺でしょうか。
- FF5 新しき世界(ヴァイオリン / 1:36〜)
- バハラグ Dancing Sword(ヴァイオリン / 0:29〜)
- クロトリ Dive to BLUE(サックス / 3:53〜)
- ラストバイブル3 Fall into the Abyss(ヴァイオリン / 0:32〜)
――ってな感じで!
なんとなく散文的なので、「なんだその飛躍は?!」とか何か突っ込みとかあったらどしどしどうぞっ!(>ヮ<)ノ☆