Zephyr Cradle Diary


2010.09.29 (Wed)

[音楽] 打楽器演奏の難しさ

パーカスこと打楽器ですが、ぶっちゃけ簡単そうに見えますよね。

ドラムセットやスネアドラム、ティンパニの類はまあそうでもない。細かく叩いてたりで、難しそうに見えるもの。ドラムセットなんて右手左手右足左足をバラバラに叩くとかどんだけ特殊技能なんだよそれ、と軽く嗜む程度に叩ける自分でも思います。てか足無理だろマジ。

でも他の楽器って、そんな難しく見えないじゃないですか。「あんなでかい大太鼓(バスドラ)なんて誰が叩いても同じだろ」とか「タンバリンくらい俺にだって出来るわー」とか「ピアノ弾けっから鉄琴木琴くらい余裕だぜ」的な。まあでもそういう楽器も多いです。マラカスとかカスタネットとか鈴とかトライアングルとか銅鑼とかあんなんまあ確かに難しいことはなく、実に小学校の頃に触ったような感じで間違いないです。管や弦の楽器とは違って、音階がなくリズムのみがんばればいいという、実に敷居の低い楽器ですからね。実際、その通りではあります。「ちょっと人たんないからこっち来てここだけ叩いてくんない?」とか唯一出来るパートですね。管や弦じゃそうはいかんですし。

しかし専用の奏者が居る。では何が難しいのか?

……というと結構説明に困ったりするけど、学生時代に吹奏楽部だったとき、先輩にこんな質問をされた。

「パーカスで一番難しい楽器ってどれだと思う?」

当然のようにドラムセットとかスネアとかティンパニとかうちは答えたような覚えがあるんだけど、先輩はそうじゃないと言って、こう答えた。「私はトライアングルだと思う」と。

ティンパニやドラムセットは、確かに難しい。音符が細かいとか、どのドラムをどのタイミングで叩くとか、音が細かいとかせわしないとか。大抵、難しいからって押し付け合いになる楽器がそれ(まあ、目立ちたがり屋の多いうちの部では逆でしたが)。

でもトライアングルって、と思ってるとこう言われた。

「ピアニッシモからフォルティッシモまで叩き分け、出来る?」

そう、叩くだけなら誰にでも出来る。でも、そこに感情を込めて演奏するのは非常に難しいのだ。特に、構造がシンプルな楽器ほど。

トライアングルにも叩く場所によって音が違うとか、ばちのどこで叩くとどんな音が出るとか、材質やてこの原理的なアレそれはあるけれど、それを加味しても、強弱をそんな数段階もきっちりきっかり叩き分けるなんて、すっげえむずいです。その上でリズムキープし、一定のリズムで全ての音を毎回同じ音量で叩き続ける、というのは、口で言えば簡単ですが少なくとも素人には無理です。

もっと分かりやすい楽器で言えば、銅鑼。あれでpp~ffがしっかり叩き分けられますか? もちろんうちは自信ないです。慣らすまでに時間くださいって言う。銅鑼の大きさや位置、ばちの長さ、固さ、いろんな要素がありますので毎回同じ音を出す&強弱を叩き分けるなんて、それはそれは大変なスキルだと思います。そしてそれは、楽器の数だけコツがあり、クセがある。ちょっとヒビが入ったというだけでも音はガラッと変わりますからねえ。

この話はパーカスに限った話ではありませんが、当方がパーカス奏者でもあるので、なんとなくまとめてみました。別にパーカスを崇めて欲しいわけでもなんでもなく、軽んじられたくないがちょっとと、あとはそこにこだわりだすと超楽しい楽器ですよというのが言いたかった感じです。

タンバリン一つ取ってもそうなのです。あれ、縦に構えたときと横に構えたとき、音が全然違うんですよ? 試してみて下さい。