2021.10.04 (Mon)
■ [雑記] TOKYO GAME MUSIC FESの映像がダメダメすぎた話
今年もオンライン開催された東京ゲームショウ(TGS)だが、今回は音楽祭もということでオンラインでコンサートが有料配信された。それがTOKYO GAME MUSIC FES(TGMF)だ。
2日分の演目が公開され、原神やスターオーシャン、NiGHTSなどがラインナップされているのを見てすぐにチケットを購入。2日分なので8000円ほどのチケット。そりゃあメーカーを跨いだゲーム音楽の祭典、嫌が応にも期待は高まる……のだが。
いや、初めに言っておくと、演奏はとても素晴らしかった。先に良かったところを述べておく。
- 演奏、編曲は素晴らしかった。ソロもとても巧いし、編曲も美味しいところを分かっている編曲だった。
- 原曲を知らないけれどメタルギアのSnake Eaterはとてもエモかった。サックスすばらしい。
- 原神の選曲が稲妻なのが凄い。稲妻は日本モチーフの地方だからTGSでやる意義がとてもある上に、この稲妻地域の実装は今年の7月下旬だ。そこから今回の演奏まで持っていったのは純粋に凄いし頑張ったと思う。
- オーケストラの枠にとらわれない選曲があるのも良かった。ドラムセット、ベース、ギターを混ぜているので、メタルギアやソニックの曲はとても聴き応えがあったと思う。
- テイルズオブファンタジアとスターオーシャンは、よくあんな桜庭節全開の曲たちをテンポそのままにテンション高くオケ映えするアレンジしたと最高に褒めたい。ベースとドラムと混ざるオケがカッコイイ。
- NiGHTSはアレンジこそ原曲にかなり寄せていたものの、そう、それでいいんだよっていう感じ。ロード画面の曲からStage 1に行くだけでもうぐっときてしまった。Dreams Dreamsの男女ボーカルをテナーサックス+アルトサックスで演奏するのが完全に解釈一致。優勝。
とにかくラインナップされているゲームの音楽のファンであればとても良いサウンドに触れられると思う。
……でもね? とにかく映像がダメダメすぎた。(やっと記事の本題)
カメラワークが本当にダメダメすぎてTwitterで怒りをぶちまけすぎてしまったのだが、映像作品としてこれを全世界に配信してしまっているのは日本の恥だと思う。自分は絶対にBDやDVDが出ても購入はお勧めしない。CDならあるいは、といったところ。まあBDやCDは版権や販路的に絶対出せないと思うが……。とにかくこの映像は、ダメだ。
以下、主なダメなところを挙げていく。
※本記事では批評のために「引用」としてスクリーンショットを掲載します。もし何か問題があれば削除します。
■指揮者を映すカメラの逆光がひどい
舞台照明がモロに映り込んでいる。もっとカメラの向きを考えられなかったのか。いくらなんでもこの絵はない。指揮者にも失礼。
この指揮者を映すカメラは基本的にずっとこの位置と向きで固定のようなので、常に逆光が入り続けていた。サントリーホールの天井を映したかったのかな??
■舞台上の上手(かみて)にあるカメラの絵面が背中ばかり
カメラは何台も動かしていると思うのだが、特に舞台上の上手で動いているカメラがひどい。1stバイオリンの背中ばかり映している。そもそもこの位置ならそりゃあ背中ばかりになるに決まってる。ちゃんと撮れてピアノとハープくらいだ。何のためにこの位置で撮ろうと思ったのか分からない。
それとこの上手のカメラ、よく揺れるしズームイン・ズームアウトの仕方も荒っぽい。その割に編集で多用されていて本当に謎。
ちなみに下手側のほうは、どうも高さを変えられるようなクレーンのようなもので撮っていたので、上の方から悪くない絵が撮れていた。これはこれでいいのだけど、ただ奏者をアップするのには向いていないので(奏者は横向きになってしまうので)、結局全体像を撮るか、ドラムを撮るかだけしかしてないカメラだった。舞台上にカメラって要るのか……?
■ソロを映しても楽器が全然見えない
ソロやメロディを演奏する奏者をアップにして撮るというのはオケの映像で良くある映像だが、譜面台やら機材やらのせいで、楽器や手元が全然見えないことが多い。ギターソロの手元も、琴の手元も全く見えない。顔だけ見せられても……と思ったら顔ですらマイクスタンドで隠れたりしている。事前にもっとカメラの配置を考えられなかったのだろうか?
あとそもそもとして、舞台上にマイクやらアンプやらの機材が多すぎる気がする。オケの収録はそういうモノなのかなと思ったけれど、原神の公式コンサートでは舞台上にマイクなんてひとつもなかったですね……。TGMFはエレキギターとかドラムが入ってるからとはいえ、うーむ。
■カメラの向きを高速で変えているのが残っている
各カメラはもちろん撮りたい位置に合わせて向きを変えるし、シーンによっては高速に向きを変えなければ間に合わないこともあるでしょう。でもそういうのは、複数台カメラを回しているんだから高速転換中の絵はカットされるだろう、と思ってカメラマンも撮っているかと思うんだけど……。それが編集でカットされていないシーンがたびたびある。なんで?
■ピントが合っていないことがある
奏者にカメラが向いているにも関わらず、ピントが後ろの楽器や奏者に合っていることがたびたびある(フルスクリーンで見ていると顕著に分かるのだが、上の1枚目は後ろのタムにピントが合っていて、2枚目は後ろのバイオリン奏者の股間にピントが合っている)。
こんなの言語道断だと思うんだけど、なんで編集でカットしないのか。
■ソロではないのにアップにしてしまい、しばらくしてから慌ててその後ろにカメラをずらしているのがモロに残っている
これはもう書いたとおりなのだが、なんでこんなシーンをカットしないのか分からない。前の和楽器奏者2人を映したものの、構えているだけで特に演奏はしてなくて(1枚目)、そのあと慌てて後ろのバイオリンへカメラをズラしている(2枚目)。慌てていたからかバイオリンにピントが合っていないままである。
スコアリーディングを怠ったのか、まあこういうミスも時々はあるのかもしれない。でも、これも編集で別のカメラの映像を選べば良いだけの話だ。なんで我々に提供される映像にこれが残ってしまっているのかが分からない。不手際を見せたかったの?
■カメラごとの色味に差がありすぎる・画質にも差がある
撮った絵が白っぽいカメラ、黒っぽいカメラ、赤っぽいカメラなど……カメラやレンズの特性でそういう差が出ることも、まああるでしょう。ハードを統一出来ないならそういうこともある。照明の位置や向きでも色々あるでしょう。
でも、そういうのって編集段階で加工してなるべく揃えるものじゃないんだろうか……? 全体の絵造りに統一感がまるでない。
■舞台最後部を撮っているカメラの存在意義が不明
打楽器を狙って撮っていると思われる定点カメラがあるようなのだけど、これは監視カメラの映像か何か? 実際に使われている映像を見ると、だいたい打楽器奏者が休んでいるところばかり使われている。このカメラで我々に何を見せたいんだ?
……というわけで、ダメなところは主にこんなところです。
大袈裟に書いてしまったのですが、当然、全てがこんな感じというわけではありません。7割くらいは普通に見られる映像です。ただ、残りの3割くらいがこんな感じで見るに堪えない映像なので、正直映像コンテンツとしてはあまりオススメ出来ないといったところ……。映像がダメだとそれが気になってしまい音が耳に入らなかった。まだDay1しか見ていない状態でこれだったので、Day2を見るのが気が重い……。演奏は聴きたいので、いっそ目を瞑って聴くのが得策なのかもしれない。8000円も払ったのになあ……。 (更新)Day2も見ましたがダメダメなのは一緒でした。
あまり比べたくはないのだが、無料で公開された原神の公式コンサートのほうが1億倍マシな映像(下記スクショ参照)で、このクオリティが無料で見れるのは詐欺でしょっていう感じだった。TGMFを見た後の良い口直しになってしまった。そうだよオーケストラの映像っていうのはこうであるべきだよと。
TGMF、試み自体は非常に良いと思うのに、こんな映像で胸張っていて欲しくない。ゲームやゲーム音楽を世界に誇ろうという気があるのであれば、もっとちゃんとしてほしいと願うばかりです。
★追記:当初Day1を見終えた段階で記事を書いていたので記事タイトルや本分がDay1に限定した内容でしたが、その後Day2も見たので、TGMF全体を通した記事内容に少し加筆修正しています。